NEURODIVERSITY・UNITED
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Nikki Stevensonの記事

                            

英国のThe Guardian誌に掲載された記事です。オリジナルの英語版は下記URLよりアクセスいただけます。https://www.theguardian.com/science/blog/2015/jul/16/autism-doesnt-have-to-be-viewed-as-a-disability-or-disorder

ニキ・スティーヴンソンはニューロティピカルです。以前は物理学と化学専門の高校教師でした。現在は英国イースト・ミッドランド・カウンシル(役所)のオーティスティック協同部のメンバーであり、同時にノッティンガム及びイースト・ミッドランドのオーティスティック団体の理事を務めています。この団体は「セルフ・ヘルプ」をモットーとしており、オーティスティックの職員達がオーティスティックとその家族を対象としたサポートを行っています。

 

ニキは日本の皆様にこの記事が届くことを大変喜んでおり、「光栄に思う」とコメントしています。

 

Autism doesn't have to be viewed as a disability or disorder

- Nikki Stevenson   July 16, 2015

 

【オーティズムを障害と捉える必要はない】

 

オーティズムは私達の社会が一丸となって乗り越えなければならない、最後の大規模な偏見の代表と言えるかも知れません。私達の歴史は非定型的な人間に対する迫害の例に満ちています。私達には“普通”と違うものに対して恐怖を抱く傾向があり、その恐怖に駆られたために自分達と異なる人間を下等とみなして枠に嵌めてしまうことがあります。

 

そうした迫害意識を乗り越えるには何世代もかかります。人種差別はその明らかな、醜い例です。他の例も見つけるのは簡単です:ゲイのコミュニティが直面している迫害はどうでしょうか。数え切れないほどのゲイの人達が、天然のセクシュアリティを“社会病質人格障害”と診断されました。多くが犯罪者扱いを受け、強制的に施設に送り込まれ、拷問に似通った“治療”の対象とされました。どれだけの人達が自分を人格障害者と思い込み、与えられたラベルから自由になりたいと願ったことでしょう?どれだけの人達が静かな生活を望み、それを得るために“完治”したいと願ったことでしょう?最大の罪は、専門家と称する人達が彼らに投影したイメージが伝承されることによるダメージにあります。

 

オーティズムは障害として枠に嵌められており、主流のセオリーにおいてはオーティズムを欠如のモデルとした提示がなされています。人気のあるセオリーは、その習慣的な性質のリサーチや科学的な過程を明示することなく、事実と偽られ通用してしまいます。大半の主流のセオリーはオーティスティックの持つ強みや非定型的能力に関しては揃って沈黙します。そして、文字にされ普及される内容はオーティスティックを“伝染病”であるかのように提示する酷いイメージを持つものばかりです。リスク、病気、障害、欠如、学者ぶる、強い拘りを持つ、などといった、人を傷つける言葉が頻繁に使用されます。

 

一卵性双生児と二卵性双生児を対象にした最近の遺伝子研究においては、観測された特性の56~95%が遺伝によるものでした:オーティズムの特性はポリモーフィズムと呼ばれる遺伝子の違いによるものです。人類の遺伝子において何が最適であるかという基準は存在しません:個人、親族、グループ単位のヴァリエーションは自然な現象です。どの種も常に遺伝子を変化させることで多様性を維持しています;その変化がポジティブなものであった場合には、それは次世代へと受け継がれます。オーティズムは天然のヴァリエーションの一例です。現在の見積もりでは100人に1人がオーティスティックということです:そうすると英国の人口のうち、約64万1000人がオーティスティックということになります。もし本当にオーティズムが病気あるいは人類にとっての損害であるなら、なぜオーティスティックという変種の遺伝子が永続するのでしょうか?そうですね…英国保安庁に伺いを立ててみるというのは如何でしょう?彼らの現在の操業員の10%はニューロダイヴァージェントで、そこにはオーティスティックも含まれています。

 

現在のオーティズムに関する研究:薬品による治療オプションの確立や、完治方法、出生前の胎児テストなどの大半は、製薬業界が資金提供を行っています。そうしたプログラムに対しては多くの疑問が浮かび上がります:特に、オーティスティックである張本人達の多くが“障害”という概念を拒絶し、マジョリティとは異なる特性を持つ社会の一員として、対等に尊重される権利を求めていることも明らかな理由の一つです。

従って、将来的な利益を得るためにオーティズムを“病原のモデル”として売り出すことに利害的な関心を持つ製薬業界がこのようなリサーチに加担している事実には、不安が付きまといます。治療法は人口の1%に売られる可能性があり、彼らの人間としての特性は単なる“病状”にまで引き下げられてしまいます。売り込みは簡単です:このグループは問題であると世界を説得し、次にターゲットであるグループ自体を説得するのです。

 

オーティズムに関する一般的な誤解は、オーティズムが知的障害と不可解に繋がっているというものです。しかし、世界の偉大な思想家や発明家の多くがオーティスティックの特性を表しています。「臨床現場においてはオーティズムと知的障害が同時発生することが頻繁にあり、これによって多くの研究者がこの二つの状態を同じ遺伝子によって引き起こされるものであるとして解釈してしまったのです。私達のリサーチはこの憶測をチャレンジするものになります」Open大学の心理学教授、Dr. ロサ・ホクストラは言います。彼女が最近指揮した研究の結果、オーティズムの遺伝子は学習障害のそれとは異なるという発見に至りました。オーティスティックの人達は広範囲における知能を展開し、そこには異例の高知能も含まれます。高知能を持つ人達は診断されることが少ないというのも、臨床現場と現状の不一致を招く要因であることは明らかです。その上、専門家によっては日常生活に大きな支障が見られない場合には敢えて診断を差し控えたりもします。

 

診断されている、いないに関わらず、オーティスティックの人は自分がマジョリティとは異なることを知っており、彼らには自分が特定のマイノリティ・グループに属していることを知る権利があります。世間が持つ典型的なオーティスティックのイメージは間違っています。75%のオーティスティックが言葉を話します。そして学習障害とオーティズムは異なるものです。ほとんどの人がオーティスティックの知り合いを持っていますが、その人がオーティスティックであることには気がついていないかも知れません。

 

オーティスティックの人達は人間です;遺伝子的にも脳科学的にもマジョリティとは異なる性質を所持していますが、平均枠から外れた強みや苦難、特殊な直感やコミュニケーションのスタイルを持ちながら、同じように考えたり、感じたりする人間です。社会は時として視野が狭く、行き過ぎた協調性を支持するきらいがあります。

 

楽しい学校生活の思い出を持つオーティスティックを見つけるのは困難です:ほとんどがクラスメイト達による虐めに苦しみます。大人になってからは“変人”、“異様”であるとして卑しまれ、コミュニティから疎遠にされ、孤立した生活を送ります。高学歴で成功を収めているオーティスティックの人達は、本来の自分にとっては異質なものであるにも関わらず周りに期待されるコミュニケーション方法や行動を習得しており、カミングアウトすることを恐ろしいプロスペクトと感じています。こういった生き方は非常に疲れるものであり、憂鬱にもなりますー世間がありのままの彼らには価値を見出せないことを知っているのですから。これはホモセクシュアル・コミュニティが直面する苦境にも匹敵しますー“クローゼットの中から出られない”状況です。現代のオーティスティックの人達は一般集団よりも精神的疾患を抱えやすいと言われています。その原因を推測するのは難しくありません:いじめに侵された幼少期、社会の中での孤立、そしてクローゼットに隠れていなければならない現状ー彼らも人間に過ぎないのです。

 

オーティズムは人類の遺伝子という大樹から生る進化の枝です。オーティスティックはヨーロッパ人権条約により守られた、貴重なマイノリティです。無関心は進歩の大敵であり、私達が眠る間にも大きなビジネスが出生前の胎児を診断し、堕胎し、貴重な人類のグループを治療し“完治”させてしまうかも知れませんーその人間に障害のラベルが貼られている限り、人権などは無視されるようです。私達は共に立ち上がり、この不正に対抗し、オーティスティックの人達をマイノリティのグループとして定義しなければなりません。彼らが現実として社会に重要な貢献をしていることの価値を認識し、彼らを受け入れる働きを行わなければなりません。私達が過去から学ばないのであれば、歴史にいったい何の意味があるでしょう?

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© Miyuki Kuwasawa - September 6, 2017