NEURODIVERSITY・UNITED
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感受性の違い

 

私達は五感を通して外界とつながり、様々な情報と学びを得ています。このページではAS特有の発達した五感と、それらを守る習慣を身につけることの大切さについて書きたいと思います。以下に、五感の一つ一つを検証してゆきます。

 

♦ 視覚:ASの多くは光に敏感なため、直射日光などの眩しい光だけでなく、蛍光灯、点滅するライト、煙などにも強い影響を受けます。室内では裸電球が見えないように照明カヴァーを取り付け、必要ならワット数を下げます。窓には遮光カーテンの他にブラインドや目隠しカーテンなどを取り付け、光を調節すると良いでしょう。

 

外出時はサングラス、帽子、日傘などを活用することをお薦めします。私自身はサングラスを使用することで苦痛とストレスを大幅に軽減でき、ピクニックは森の中、海辺への外出は曇りの日を選ぶようにしています。

 

夕暮れなどの眩しくない時間帯を選び、広い公園内や高台などから遠くを眺めてみてください。自分の視覚を探究しましょうーこれを続けることで、遠くにあるものに‘ズームイン’する能力や、非常に細かい部分まで明確に見分けられる能力などが備わっていることを発見できるかも知れません。

 

♦ 聴覚:ASの特徴としては、雑音(複数の話し声、テレビ、音楽、何かの作動音など)があると話をしている相手の声などが紛れてしまい、聞き取りずらくなくなりますーしかし、雑音がなければ、大抵の人には聞こえないほど遠くの会話の内容が明確に聞こえたり、小動物の動く音なども敏感に察知できます。

 

ASにとっては、騒音はストレスや頭痛、中耳炎などの原因ともなります。外出時はノイズキャンセリングのヘッドフォンがベストかも知れません。耳栓は、自分に合った質の良いものを選ぶと良いでしょう(素材がシリコンやゴム、その他アレルギー反応を起こしやすいものが多いので注意します)。また、耳栓は内耳の通気を妨げ圧迫しますので、長時間の使用はなるべく避けるのが無難です。

 

掃除機、洗濯機、乾燥機の音などは可能な限り防ぎたいものです。私自身は、掃除機は使用せずに箒と雑巾で掃除します。ヘアドライヤー使用時は耳栓をします。

 

私の父は旅客機の機長でした。彼は故障による作動音の変化を聞き逃さないよう、車の運転中は音楽をかけませんでした。映画「ハドソン川の奇跡」でも、主人公が音に敏感なキャプテンであったことから、緊急時にエンジンの状態を正確に把握することが可能であった様子が描かれています。

 

町の喧騒から離れた自然環境の中で、自分の聴覚の素晴らしさを探究しましょうー目を閉じて体の力を抜き、水が流れる音、鳥が羽ばたく音、雨風が移動する音などに耳を傾けてみてください。集中すれば、右耳と左耳の意識を切り替え、取り込む音のプライオリティを選択する能力があることに気が付くかも知れませんー猫が気になる音の方へ耳を傾けるのと同じ要領です。

 

♦ 嗅覚:嗅覚と記憶は密接な関係を持っていますーASの鋭い嗅覚は、優れた記憶力にも貢献していることでしょう。ASの多くは化学薬品、ガソリン、換気口からの匂いなど、様々な刺激臭により鼻腔に痛みを感じたり、気分が悪くなったりします。

 

ASの小さな男の子が、靴屋に入ったとたんに鼻に激痛を感じて大泣きしたと聞いたことがあります;新品のゴム底の匂い、革製品の強い匂いなどが原因でした。消臭剤、消臭スプレー、ウエットティッシュ、香水、化粧品、石鹸、洗剤、塗料、排気ガスなど;匂いのするもの、あるいは無臭でも鼻腔に成分を吸い込んでしまうスプレーなどは避けます。調理時の煙も良くありません。

 

私は小学校に入った頃に公衆の場の匂いが辛くて口呼吸を始めました。しかし、口呼吸は健康に良くないことを知り、大人になってから鼻呼吸に戻しました。普段は健康的な鼻呼吸を心掛け、逃れられない刺激臭に遭遇した際には口呼吸でその場を切り抜けることがベストかも知れません。

 

♦ 触覚:ASは様々な素材の感触、成分、化学物質、温度、湿度などに敏感である可能性が高いでしょう。人に触る、触られることが苦手であったりもします。

 

私自身はコットン、麻、シルクなどの天然素材の服を基本に選びます。縫い目が肌に触れることにも敏感なので、自宅では裏返して着ていますーこういった些細な変化でも、ほぼ24時間縫い目が肌に触れている時と比べてストレスはかなり軽減されます。

 

家具や食器などはプラスチック製品を避け、木製、ガラス、陶器を中心に選びます。塗料などにアレルギーを持つ人もいるので注意が必要です。洗濯洗剤、石鹸や歯磨き粉なども、可能な限り天然の材料で作られた低刺激のものを選びます。

 

暑さや寒さ、風なども身体への刺激です;意識して身を守り、ストレスを減らしましょう。大きめのストールが何枚かあると便利ですー季節に合わせて厚さの違うもの、どれも色と触り心地が好みと思えるもので、柔らかい天然素材の物を選びます。外出先でストレスを感じた時には、指先でストールの触感を愉しんだり、上半身を包んだりすると落ち着きを得られるかも知れません。

 

個人差がありますから、自分特有のニーズやストレスを感じるポイントをよく把握し、対策を取ると良いでしょう。そして、様々な触感を愉しみましょうー草木に触れ、動物の柔らかな毛を撫で、風に包まれ、日光の暖かさを掌に感じてみてください。

 

♦ 味覚:味覚や食感に敏感なASが多いようです。私自身はあまり好き嫌いがありませんが、イカにアレルギーです。ラーメンやリゾットの出汁に使われていることもあるので、外食時は特に注意しています。

 

味覚は嗅覚と密接な関係にあるので、匂いのせいで味を苦手と感じることもあるでしょう。また、器やカトラリー(スプーン、箸など)の素材や形状も、ASの場合は、味覚に大きく影響するかも知れません。盛り付けによっても味覚や食感は変わりますので、すべての料理を一枚の皿に纏めるよりも、少量ずつ違う器に盛ってある方が場合によっては食べやすいかも知れません。

 

何よりも毎日の食を愉しむことが一番大切であると思いますが、色々と試し、無理のない工夫をして美味しさを満喫しましょう。

 

♦ まとめ:現代社会はASの五感にダメージを与える刺激に満ちています。周り(マジョリティ)が平然としている中で、私達は強すぎる刺激を無意識に我慢していることがあります。生きることに必死で、自分が苦痛を感じているという事実にすら気が付かないことも多いでしょう。もしかすると知らず知らずのうちに無理をして、ストレスを溜めて生きてきたのかも知れませんー五感を意識する習慣を身につけ、その可能性を検討してみましょう。

 

事前に五感を守る準備をしておけば、外出先でもストレスを軽減できます。強すぎる刺激に遭遇した場合には、原因を取り除く(窓のブラインドを閉める、音量を下げてもらう等)か、あるいは速やかにその場から離れましょうーあなたには自分の身体を守る権利があります。あなたの身体はマジョリティのそれとは異なるのですーマジョリティが快適に過ごせる程度の刺激でも、あなたには強すぎる場合のほうが多いかも知れません。

 

ASは五感を通して、大量の外的情報をダウンロードしています。情報処理は重労働ですから、エネルギーの消耗も激しくなります。その上、私達はNTのふりをすることに多大なエネルギーを費やしており、更には行く先々で社会の不寛容に直面し困難と向き合わなければなりません。ニューロマイノリティの抱える疲労、ストレス、身体的および精神的苦痛は、マジョリティの想像を遥かに超えるものでしょう;多くのASが過労とストレスにより精神、皮膚、副腎、腎臓、胃、心臓、呼吸器、生殖器をはじめ、あらゆる部位に病を発生しがちです。

 

NTにとっての‘理想的’なペース(生き方)は、ASには適合しません。体は可能な限り休ませると良いでしょう。私達の脳はとても働き者です。身体が一見何もしていない時こそ、あなたの潜在意識と無意識は手を取りあって全力で働いています。

 

あなたの繊細な五感は、あなたが持って生まれた特性を活かすために備わっているものです。五感はあなたが外界と繋がるための道具ですーあなたがいつか自分自身にとって本当に意味のある‘何か’に辿り着いた時に、それを成し遂げ、人生を謳歌するための大切な道具です。その大切なプロジェクトのために、今から自分の身体を守る習慣を身につけ、体調を整えておきましょう。
 

豊かな感性に恵まれていることは、私達ASの特権でもあります。この世界の鋭い鮮やかさから儚い細やかさまで、その創りの全てを堪能できる能力を持って生まれたことに歓びを見出し、日々の生活の何気ない作業でさえも愉みに変えてゆきましょう。‘創造力’はシンプルな生き方の中に宿ります。

 

【花が咲かなかった時、花を正すのではなく、花を育てる環境を正すものだ】

-Alexander Den Heijer

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© Miyuki Kuwasawa - September 6, 2017